1. この記事でわかること
- インデックス運用とアクティブ運用は、何を目指すものか
- 組み入れ銘柄や、費用の考え方の違い
- ベンチマークとは何か
- つみたて投資枠での、2つの扱いの違い

インデックスとアクティブって、結局どっちを選べばいいの?

この記事では「どっちが良いか」は決めないよ。それぞれが何を目指していて、何が違うのか。それがわかると、自分で選ぶ材料になるからね。
2. 「指数」とは何か
まず、前提になる言葉から確認します。
インデックス(指数)とは、市場全体や、一定のルールで選んだ銘柄のグループの価格を、決まった計算式で、1つの数字にまとめた指標のことです(金融庁のスライドの説明)。
たとえば、日経平均株価、TOPIX、S&P500などが、指数の例です。「日本の株式市場全体は、上がっているのか、下がっているのか」を、1つの数字で見られるようにしたものです。指数の種類は、記事22で説明します。
3. インデックス運用:指数に連動することを目指す
インデックス運用は、あらかじめ決めた指数と、同じような値動きになることを目指す運用の方法です。
資産運用業協会の用語集では、日経平均株価、TOPIX、S&P500のような指数と、ファンドの基準価額が、同じ値動きをすることを目指すもの、と説明されています。
- 目標:指数に連動すること
- 組み入れ銘柄:指数と同じような構成にする
- 運用の判断:どの銘柄をいくら買うかを、指数のルールに合わせる
「指数に連動する」とは、指数を上回ることを狙わない、という意味でもあります。指数が下がれば、ファンドの基準価額も、同じように下がります。
4. アクティブ運用:指数を上回ることを目指す
アクティブ運用は、あらかじめ決められた指数(ベンチマーク)を、上回る運用成果を目指す運用の方法です。
ファンドマネージャーと呼ばれる運用担当者が、調査や分析をして、どの銘柄に、どれだけ投資するか、いつ売買するかを判断します。
- 目標:指数を上回ること
- 組み入れ銘柄:調査や分析で、絞り込む
- 運用の判断:担当者が、積極的に行う
目指していることと、実際に上回れることは、別です。金融庁の資料にも、「アクティブ運用の運用成果は、インデックスを下回る場合がある」と、注記があります。
5. 2つを並べて比べる
金融庁のスライドにある比較を、整理します。

| 項目 | インデックス運用 | アクティブ運用 |
|---|---|---|
| 運用の目標 | 指数に連動することを目指す | 指数を上回ることを目指す |
| 組み入れ銘柄 | 指数と同様の構成 | 調査・分析で、銘柄を絞り込む |
| コスト | 相対的に低い | 相対的に高い |
資産運用業協会も、インデックスファンドは、アクティブファンドより、信託報酬が低いことが多い、と説明しています。
ただし、「コストが低い方が、必ず良い」「高い方が、悪い」と決めつけるものではありません。コストは、確実にわかる情報のひとつ、という位置づけです。運用の成果は、将来にならないとわからないからです。
6. ベンチマークとは
ベンチマークは、運用の成績を評価するための、基準になる指標です。
- 国内の上場株式なら、TOPIXや日経平均株価が使われることが多い
- 海外の株式なら、各国の代表的な株価指数や、MSCIの各種指数が使われることが多い
資産運用業協会は、基準価額の推移だけでなく、ベンチマークに対して、どのように推移しているかが重要、と説明しています。
たとえば、基準価額が上がっていても、ベンチマークがそれ以上に上がっていたなら、基準より劣った、と見ることができます。反対に、基準価額が下がっていても、ベンチマークがもっと下がっていたなら、基準より良かった、と見ることができます(これは、この記事の例で、協会の説明ではありません)。
運用報告書には、ベンチマークがある商品について、ベンチマークとの差が示されます。
7. 商品の分類の見方
投資信託協会(現・資産運用業協会)の分類では、「追加型投信/国内/株式/インデックス型」のように、商品の特徴が示されます。
- 追加型:運用期間中、いつでも購入できる
- 国内:主に国内の資産に投資する
- 株式:主に株式に投資する
- インデックス型:各種指数に連動する運用成果を目指す
目論見書の「ファンドの目的・特色」などで、商品の分類や運用の方針を、確認できます。自分の買おうとしている商品が、どちらのタイプなのかは、ここで確認しましょう。
8. つみたて投資枠での、2つの扱い
つみたて投資枠では、金融庁が、2つの運用方法の、条件を分けています。

| 項目 | インデックス運用 | アクティブ運用 |
|---|---|---|
| 対象 | 金融庁が指定した指数に連動するもの | 一定の実績があるもの |
| 信託報酬の上限(税抜) | 国内0.5%・海外0.75% | 国内1%・海外1.5% |
| 追加の条件 | なし | 純資産額50億円以上、運用実績5年以上、信託期間の3分の2以上で資金流入超 |
インデックス運用は、金融庁が指数を指定します。指定された指数の例として、日経平均株価、TOPIX、JPX日経インデックス400、MSCI ACWI、S&P500などがあります。
アクティブ運用は、継続して投資家に選ばれているもの、という考え方で、実績の条件があります。信託報酬の上限も、インデックス運用より高く設定されています。
9. 選ぶときの、考え方の整理
2つの運用方法を選ぶとき、次のような点を、自分で整理してみてください。
- 1自分が目指すのは、市場全体の動きに連動することか、指数を上回る可能性にかけることか
- 2費用の差を、どう考えるか(信託報酬は、毎日、差し引かれる)
- 3運用の成果が、指数を下回る場合もあることを、理解しているか
- 4目論見書で、運用の方針や、ベンチマークを確認したか
どちらかが正解、というものではありません。自分の目的に合っているか、費用や仕組みを理解して選んでいるかが、大切です。
10. 仮の数字で、信託報酬の差を考えてみる
コストの違いが、どのくらいの金額になるのか、仮の数字で見てみます。実際の商品の数字ではなく、計算のイメージです。
- 保有している評価額:100万円(1年間、変わらないと仮定)
- Aの信託報酬:年率0.2%(仮)
- Bの信託報酬:年率1.0%(仮)
| 年率 | 1年間に差し引かれる額(目安) | |
|---|---|---|
| A | 0.2% | 約2,000円 |
| B | 1.0% | 約10,000円 |
差は、1年で、約8,000円です。保有する金額や、期間が増えれば、差も大きくなります。
ただし、これは費用だけの比較です。運用の成果は、別の話です。費用が高くても、成果が上回ることを目指すのがアクティブ運用の考え方ですが、上回れるとは限りません。費用は、確実に差し引かれる、という点が、成果との違いです。
11. 指数の動きと、基準価額の動き(仮の数字)
インデックス運用の、値動きのイメージを、仮の数字で確認します。
- ある指数が、1年で10%上がった
- その指数に連動することを目指すファンドは、信託報酬などを差し引いた上で、おおよそ10%に近い値上がりになる
反対に、指数が10%下がれば、ファンドもおおよそ10%下がります。指数が下がるときは、ファンドも下がるという点は、インデックス運用の基本的な性質です。
アクティブ運用は、指数との動きの差が、運用の内容によって変わります。指数より値下がりが小さいこともあれば、大きいこともあります。
12. 商品名だけで、判断しない
「インデックス」という言葉が名前に入っていても、何に連動するのかによって、中身は大きく違います。
- 国内の株式の指数に連動するもの
- 海外の株式の指数に連動するもの
- 世界の株式の指数に連動するもの
商品名だけでは、運用のタイプは判断できません。目論見書の「目的・特色」で、確認するようにしましょう。
13. 運用報告書で、確認する点
運用報告書には、次のような情報があります。
- 運用の経過の説明(基準価額や分配金の推移、変動の要因)
- 1万口あたりの費用
- ベンチマークとの差
- 今後の運用方針
特に、ベンチマークとの差は、指数に連動することを目指す商品では、どのくらい差が出ているかを、確認する材料になります。アクティブ運用では、指数を上回れたかを、見る材料になります。
14. 目論見書の、どこを見るか
どちらのタイプの商品か、迷ったときは、交付目論見書の次の場所を確認します。
| 見る場所 | わかること |
|---|---|
| ファンドの目的・特色 | 何を目指して、どう運用するか。連動する指数の名前 |
| 費用の欄 | 信託報酬の年率 |
| 運用実績の欄 | 基準価額や純資産総額の推移 |
「どの指数に連動するのか」「ベンチマークは何か」は、買う前に、確認しておきたい項目です。指数の名前がわかれば、記事22の内容と結びつけて、投資先のイメージを持てます。
15. よくある質問
インデックス運用なら、損をしませんか?
いいえ。指数に連動するので、指数が下がれば、基準価額も下がります。元本を下回る可能性は、あります。
アクティブ運用は、必ずインデックスを上回りますか?
いいえ。上回ることを目指していますが、下回る場合もあります。金融庁の資料にも、その注記があります。
「連動」するなら、まったく同じ値動きになりますか?
目指すのは同じ値動きですが、信託報酬などの費用がかかるため、まったく同じになるとは限りません。差の状況は、運用報告書で確認できます。
両方を持ってもよいですか?
2つを組み合わせてはいけない、という決まりは、確認した公式資料にはありませんでした。どう組み合わせるかは、自分の目的やリスクの許容度で考えます。分散の考え方は、第6章(記事32)で説明します。
16. まとめ
- インデックス運用は、指数に連動することを目指す。アクティブ運用は、指数を上回ることを目指す
- コストは、インデックス運用が相対的に低く、アクティブ運用が相対的に高い、と金融庁は整理している
- アクティブ運用の成果は、インデックスを下回る場合がある
- ベンチマークは、運用の成績を評価する基準。運用報告書で、差を確認できる
- つみたて投資枠では、2つで条件が違う(信託報酬の上限、アクティブ運用の実績の条件)
- どちらが良いかは決まっていない。目的と費用を理解して、自分で選ぶ
次の記事22では、日経平均株価やS&P500など、株価指数の種類と特徴を説明します。
※この記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品をおすすめするものではありません。投資の判断はご自身で行ってください。制度の最新の内容は、金融庁・国税庁の案内で確認してください。 内容は2026年11月時点の情報です。

