1. この記事でわかること
- 株価指数とは何か、何のために使うのか
- TOPIX・日経平均株価・S&P500・MSCI ACWI・MSCI Worldの特徴
- 「平均型」と「時価総額加重」の、計算方法の違い
- 指数の数字を見るときの注意点

日経平均とかS&P500とか、ニュースでよく聞くけど、何が違うのかな。

どれも「株式市場の動きを、1つの数字にまとめたもの」なんだ。でも、対象の範囲や、計算のしかたが違う。ここでは、違いを整理するだけにして、どれが良いかは決めないよ。
2. 株価指数は「市場の体温計」
株価指数は、たくさんの株式の価格を、決まった計算式で、1つの数字にまとめたものです。市場全体が上がったのか、下がったのかを、一目で確認するために使われます。
投資信託の中には、指数に連動する運用を目指すもの(インデックスファンド)があります(記事21)。そのため、指数の特徴を知ることは、「その商品が、何に投資しているのか」を知ることにつながります。
3. 2つの計算方法
指数の違いを理解する前に、代表的な2つの計算方法を知っておきましょう。

| 方法 | 考え方 | 例 |
|---|---|---|
| 株価平均型 | 構成する銘柄の株価を使って、平均のように計算する | 日経平均株価 |
| 時価総額加重型 | 会社の大きさ(時価総額)に応じて、影響の大きさを変える | TOPIX、S&P500、MSCI ACWIなど |
時価総額とは、株価に、発行されている株式の数をかけたもので、その会社の市場での大きさを示します。時価総額が大きい会社ほど、指数に与える影響が大きくなるのが、時価総額加重型です。
4. 日本の株式の指数
TOPIX(東証株価指数)
JPX総研が算出している指数です。日本取引所グループ(JPX)の公式ページの内容は、次のとおりです。
- 対象:東証のプライム・スタンダード・グロース市場の、内国普通株式
- 計算方法:浮動株ベースの時価総額加重
- 基準:1968年1月4日の時価総額を100とする
- 構成銘柄数:1,636銘柄(2026年9月30日時点)
TOPIXは、2026年10月30日に、初回の定期入替を行う、とJPXが公表していました。そのため、銘柄数は、この時点から変わります(入替後の銘柄数は、この記事では確認していません)。最新の数字は、JPXのページで確認してください。また、入替で外れる銘柄は、2028年7月まで、ウエイトを段階的に下げていく移行措置があります。
日経平均株価
日本経済新聞社が算出している指数です。公式ページで確認できる内容は、次のとおりです。
- 対象:東京証券取引所プライム市場に上場する銘柄から選ばれた225銘柄
- 計算方法:株価を使った株価平均型
- 入替:年2回(4月初・10月初)に、見直しがある
- 公表開始:1950年9月7日
株価平均型なので、株価の高い銘柄の動きの影響が、大きくなります(下の例を参照)。時価総額加重型のTOPIXとは、考え方が違います。
TOPIXと日経平均の違い
| 項目 | TOPIX | 日経平均株価 |
|---|---|---|
| 算出 | JPX総研 | 日本経済新聞社 |
| 対象 | 東証の3市場の内国普通株式 | プライム市場の225銘柄 |
| 計算方法 | 時価総額加重(浮動株ベース) | 株価平均型 |
5. アメリカの株式の指数:S&P500
S&P500は、S&P Dow Jones Indicesが算出している、アメリカの大型株の指数です。
- 対象:アメリカの大型株、500社。同社は、アメリカの時価総額の約80%をカバーする、と説明している
- 計算方法:浮動株調整後の時価総額加重
日本の指数と違い、投資先は主にアメリカの企業です。海外の資産に日本円で投資する場合は、為替レート(円と外国の通貨の交換比率)の動きも、成果に影響することがあります。
6. 世界の株式の指数:MSCI ACWIとMSCI World
MSCIが算出している、世界の株式の指数です。2つの違いは、新興国を含むか、含まないかです。

| 項目 | MSCI ACWI | MSCI World |
|---|---|---|
| 対象 | 先進国23か国+新興国24か国の、大型・中型株 | 先進国23か国の、大型・中型株 |
| 構成銘柄数(2026年9月30日時点) | 2,414銘柄 | 1,249銘柄 |
| 国別の割合の上位(同日) | 米国64.21%、日本5.2%、台湾3.46%、英国3% | 米国72.94%、日本5.91%、英国3.41%、カナダ3.29% |
MSCI ACWIは、世界の投資可能な株式の約85%をカバーする、とされています。
注目したいのは、「全世界」と名前がついていても、国別の割合は、時価総額の大きさに応じて決まるため、アメリカの割合が高いことです。これは、時価総額加重型の特徴です。
なお、「全世界株式」の指数は、MSCI ACWI以外にもあります。この記事で確認したのは、MSCI ACWIのみです。
7. つみたて投資枠で指定されている指数
金融庁が、つみたて投資枠のインデックス運用の対象として指定している指数は、複数あります。金融庁の資料の整理では、たとえば、次のように分類されています(図の読み取りによるため、最新の一覧は金融庁の案内で確認してください)。
| 地域 | 指数の例 |
|---|---|
| 日本 | TOPIX、日経平均株価、JPX日経インデックス400など |
| 全世界 | MSCI ACWIなど |
| 先進国など | MSCI World、S&P500など |
2026年4月から、読売株価指数とJPXプライム150指数も、追加されています(記事19)。指定されている指数の最新の一覧は、金融庁の案内で確認してください。
8. 仮の数字で、2つの計算方法の違いを見る
計算方法の違いを、架空の3社で確認してみます。実在の会社や、実際の指数の数字ではありません。
| 会社 | 株価 | 発行株式数 | 時価総額 |
|---|---|---|---|
| X社 | 10,000円 | 100万株 | 100億円 |
| Y社 | 1,000円 | 1,000万株 | 100億円 |
| Z社 | 5,000円 | 10万株 | 5億円 |
株価平均型の場合
株価を使って計算するので、株価の高いX社の動きの影響が、大きくなります。Y社は、時価総額がX社と同じでも、株価が低いので、影響は小さくなります。
時価総額加重型の場合
会社の大きさ(時価総額)で影響が決まります。X社とY社は、同じ大きさの影響を持ちます。時価総額の小さいZ社の影響は、小さくなります。
このように、同じ3社でも、計算方法が違えば、指数への影響のしかたが違います。
9. 地域ごとの、指数の整理
この記事で見た指数を、対象の地域で整理します。
| 地域 | 指数の例 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 日本 | TOPIX、日経平均株価 | 日本の上場企業 |
| アメリカ | S&P500 | アメリカの大型株 |
| 先進国 | MSCI World | 先進国23か国の大型・中型株 |
| 全世界 | MSCI ACWI | 先進国と新興国、合わせて47か国の大型・中型株 |
投資先の範囲が広いほど、1つの国や地域の影響は、相対的に小さくなります。ただし、時価総額で決まるため、全世界の指数でも、米国のウエイトが大きい、という特徴があります。
10. 指数の入替とは
指数は、構成する銘柄を、定期的に見直します。これを入替といいます。
- TOPIX:年1回(10月の最終営業日)。初回は、2026年10月30日。外れる銘柄は、移行措置で、ウエイトを段階的に下げる
- 日経平均株価:年2回(4月初・10月初)。225銘柄を維持するため、欠員が出たときは、臨時で入れ替える
入替が、連動を目指すファンドの運用にどう反映されるかは、ファンドによって違う場合があります。目論見書で確認してください。
11. 指数の数字を、見るときの注意点
1. 指数の「水準」は、商品の値段ではない
日経平均株価が何円、S&P500が何ポイント、という数字は、指数の水準を示すものです。投資信託の基準価額とは、別のものです。
2. 銘柄数や割合は、変わる
銘柄数や国別の割合は、定期的な入替や、株価の変動で、変わります。この記事の数字は、日付つきの数字です。最新の情報は、各指数の公式ページで確認してください。
3. 指数の特徴は、運用の中身につながる
指数が違えば、投資する地域や、会社の範囲が違います。値動きも、違ってきます。どの指数に連動する商品なのかは、目論見書で確認できます。
4. 過去の動きは、将来を約束しない
指数が過去に上がったことがあっても、将来も同じように動くとは限りません。この記事では、将来の予想はしません。
12. ニュースで見る指数と、投資信託の関係
ニュースでは、「日経平均株価が上がった」「S&P500が下がった」といった形で、指数の動きが伝えられます。
- 指数に連動する投資信託は、指数の動きに近い値動きを目指します
- ただし、基準価額は、信託報酬などの費用が差し引かれるほか、為替の影響を受ける場合もあるため、指数とまったく同じにはなりません
- ニュースで伝えられるのは、指数の水準や、前日との差です。自分の投資信託の基準価額は、別に確認します
指数の数字だけを見て、一喜一憂するのではなく、自分の商品が何に連動しているのかを知っておくことが、第一歩です。
13. よくある質問
日経平均は、日本の株式全体を表していますか?
日経平均株価は、プライム市場の225銘柄で計算されます。東証の3市場の内国普通株式を対象にするTOPIXとは、対象の範囲が違います。
S&P500に連動する商品は、アメリカ以外にも投資していますか?
S&P500は、アメリカの大型株の指数です。連動する商品の投資先は、主にアメリカの企業です。
「全世界」なら、世界中に均等に投資していますか?
いいえ。時価総額に応じた割合になるため、国によって割合が大きく違います。上の表の、国別の割合を参照してください。
14. まとめ
- 株価指数は、たくさんの株価を、1つの数字にまとめたもの
- 計算方法には、株価平均型(日経平均)と時価総額加重型(TOPIX・S&P500・MSCI)がある
- TOPIXは東証の内国普通株式が対象。日経平均は、プライム市場の225銘柄
- S&P500は、アメリカの大型株500社の指数
- MSCI ACWIは先進国と新興国、MSCI Worldは先進国のみ。どちらも米国の割合が大きい
- 銘柄数や割合は、日付つきの数字。変わるので、最新の情報を確認する
次の記事23では、投資信託を選ぶときのチェックリストを、整理します。
※この記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品をおすすめするものではありません。投資の判断はご自身で行ってください。制度の最新の内容は、金融庁・国税庁の案内で確認してください。 内容は2026年11月時点の情報です。

