1. この記事でわかること
- 投資で得た利益に、税金がかかる仕組み
- 株・投資信託の利益にかかる税率(基本の税率)
- 特定口座(源泉徴収あり・なし)と一般口座の違い
- 損が出たときの考え方と、NISAとの関係

投資で利益が出ると、税金もかかるって本当?

本当だよ。だから、「手取りがいくらか」を考えておくのが大切なんだ。
2. 投資で利益が出ると、税金がかかる
投資で得た利益には、基本的に税金がかかります。かかる税金は、利益の種類によって違います。
| 利益の種類 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡益 | 買ったときより高く売れたときの、差額の利益 |
| 配当金・分配金 | 株や投資信託から受け取るお金 |
| 利子 | 預金・債券などの利息 |
この記事では、まず、株式・投資信託などの利益にかかる基本の税金を説明します。暗号資産(ビットコインなど)は、税金の仕組みが違います。別のシリーズで説明しているので、そちらを見てください。
3. 基本の税率
上場株式や、株式投資信託などの、譲渡益・配当金にかかる税金は、一般的に次のとおりです。
| 内訳 | 税率 |
|---|---|
| 所得税 | 15% |
| 復興特別所得税 | 0.315%(所得税額の2.1%) |
| 住民税 | 5% |
| 合計 | 20.315% |
税率の根拠は、国税庁の案内(タックスアンサー)で確認できます(確認日:2026年11月1日)。
なお、2027年(令和9年)1月以後に生じる所得については、復興特別所得税の税率が下がり、新たに防衛特別所得税が加わる改正が予定されている、と国税庁の案内に書かれています。内訳の数字が変わる可能性があるため、最新の内容は、国税庁の案内で確認してください。
計算の例(仮の数字)
10万円の利益が出た場合、100,000円 × 20.315%=20,315円が、税金になります。手元に残るのは、79,685円です。

利益が出なければ、税金はかかりません。損が出た場合は、税金はかからないどころか、条件によっては、ほかの利益と相殺できる場合があります(後述)。
4. 口座の種類:特定口座と一般口座
株や投資信託を取引するときは、証券会社に口座を作ります。口座には、いくつかの種類があります。
| 口座の種類 | 内容 |
|---|---|
| 特定口座(源泉徴収あり) | 証券会社が、利益の計算と、税金の納付を代行する。原則、確定申告は不要 |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 証券会社が利益の計算をしてくれる。納税は自分で行う(特定口座年間取引報告書を使って、簡単に申告できる) |
| 一般口座 | 利益の計算も、納税も、自分で行う(申告の要否や条件は、国税庁・税務署の案内で確認する) |
| NISA口座 | 一定の範囲で、利益・配当に税金がかからない(次の章以降で説明) |

はじめての人に向いている口座
一般的には、特定口座(源泉徴収あり)が、手間がかからない選択肢として知られています。売却するたびに、証券会社が税金を計算して、差し引いてくれます。ただし、どの口座を選ぶかは、自分の状況(ほかの所得・損益の通算など)を考えて決めてください。
5. 損が出たとき:損益通算・繰越控除
投資で損が出た場合に、税金を調整する仕組みがあります。
損益通算
同じ年に、上場株式等の範囲で、利益の出た取引と、損の出た取引があれば、損と利益を差し引いて、残った利益に税金がかかります。
たとえば、Aで10万円の利益、Bで4万円の損なら、差し引きの利益は6万円です。この6万円に、20.315%がかかります。
繰越控除
その年に差し引ききれない損がある場合は、確定申告をすることで、翌年以降3年間、損を繰り越して、利益と差し引ける制度があります。損失が出た年に申告したうえで、その後も、繰り越している間は毎年、続けて申告する必要があります。
注意点
- 損益通算・繰越控除の対象になるのは、課税口座での損益です。NISA口座の損は、対象外です
- 繰越控除を受けるには、確定申告が必要です。特定口座(源泉徴収あり)でも、繰越控除のためには、申告が必要になります
- 細かい条件は、国税庁の案内で確認してください
6. 配当金にかかる税金
株の配当金や、投資信託の分配金にも、原則として、同じ20.315%の税金がかかります。受け取るときに、源泉徴収されることが一般的です。
配当控除や、申告の選択肢
配当金は、確定申告をすることで、税金の扱いを選べる場合があります。どの方法が有利かは、所得の状況によって異なります。判断が難しいときは、税務署や、税理士に相談してください。
7. 税金を考えるときの注意
- 税金は、利益が出たときだけかかる。出なければかからない
- 税金や制度は、改正されることがある。記事の確認日以降の変更は、国税庁・金融庁の最新の案内で確認する
- 外国の株・ETFなどは、外国で税金がかかる場合がある(第5章で説明)
- 個別の税務の判断は、税務署・税理士に相談する
8. 国の案内の探し方
- 国税庁のサイトで、「株式等の譲渡所得等」「配当所得」などの項目を探す
- 金融庁のサイトにある、NISAや、投資の基本の案内を見る
- 利用する証券会社の、税金に関する案内を確認する
9. 利益の計算のしかた
売って利益が出たとき、利益は、売った金額から、買ったときの金額と、かかった費用を引いた額です。
利益 = 売った金額 − 買ったときの金額(取得費) − 売買の手数料など
特定口座では、証券会社が、この計算を自動で行って、年間の取引報告書(特定口座年間取引報告書)を作ってくれます。一般口座では、自分で計算する必要があります。
同じ銘柄を、何回かに分けて買った場合
同じ商品を、いくつかの時期に分けて買うと、買った値段が、バラバラになります。この場合、売ったときの取得費は、一定の方法で計算します(平均の単価を使う方法など)。特定口座では、証券会社が、決められた方法で自動で計算してくれます。
10. 確定申告が必要なとき・不要なとき
確定申告とは、1年間の所得を計算して、税金を国に申告・納付する手続きです。
| 口座・状況 | 確定申告の要否(一般的な考え方) |
|---|---|
| 特定口座(源泉徴収あり) | 申告不要を選べる(ただし、ほかの口座との損益通算や、損失の繰越控除を使うときなどは、申告が必要) |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 特定口座年間取引報告書を使って、簡単に申告できる |
| 一般口座 | 自分で計算して申告する形。要否や条件は、国税庁・税務署の案内で確認 |
| NISA口座 | 非課税の範囲では、不要 |
確定申告の期限は、年によって違います。たとえば、令和7年分(2026年に申告)は、国税庁の案内で、2026年3月16日(月)までとされていました。最新の期間は、国税庁の案内で確認してください。
11. 税金を意識した、投資の考え方
税金は、投資の成果を、手取りで考えるときに、大切な要素です。
- 同じ利益でも、税金を引いた手取りで考える
- 利益が出たら、売るときに税金がかかることを、頭に入れておく
- 税金を減らすための制度(NISAなど)が、用意されている
- ただし、税金を減らすことだけを目的にして、商品を選ばない
次の章からは、利益に税金がかからない制度、NISAについて説明していきます。
12. よくある質問
売らなければ、税金はかからない?
株や投資信託は、売って利益が確定したときに、譲渡益に税金がかかります。ただし、配当金や分配金は、受け取った時点で、税金がかかります。
年間で利益が少なくても、税金はかかる?
特定口座(源泉徴収あり)では、利益が出た売却のたびに、税金が引かれるのが基本です。利益が少額のときの、確定申告の要否などの細かい条件は、国税庁の案内で確認してください。
家族の口座の利益も、自分の税金に関係する?
口座は、名義人ごとに管理されます。ただし、利益の額によっては、扶養に入っているかどうかなどに、影響する場合があります。気になる場合は、税務署や税理士に確認してください。
13. 税金についての、よくある勘違い
「利益が出たら、全額を税金で取られる」?
そんなことはありません。税金がかかるのは、利益の部分だけです。たとえば、10万円の利益に対して、約2万円です。残りは、手元に残ります。
「投資は、損をしても、税金がかかる」?
損が出た取引では、その分の税金はかかりません。さらに、同じ年の別の利益との通算や、翌年以降への繰り越しの仕組みがあります(条件があります)。
「NISAなら、確定申告が絶対いらない」?
NISA口座での取引は、非課税の範囲では、申告が要りません。ただし、NISA口座以外の口座(特定口座など)も使っていれば、その口座の扱いは別に考える必要があります。これは、第7章で説明します。
「税金の計算は、むずかしい」?
特定口座(源泉徴収あり)を使えば、証券会社が、計算と納税を代行してくれます。多くの人にとって、手間は大きくありません。ただし、仕組みを知っておくことは、手取りを考える上で役立ちます。
14. 税金について調べる手順
わからないことがあるときは、次の順番で調べると、確実です。
- 1国税庁のサイト:税金の仕組みや、申告の方法が載っている。「タックスアンサー」で、項目別に調べられる
- 2利用している証券会社のサイト:口座の種類ごとの、税金の扱いが説明されている
- 3税務署・税理士に相談:自分の状況での判断が必要なときは、専門家に確認する
インターネット上の個人のブログや、SNSの情報は、古かったり、間違っていたりすることがあります。必ず、公的な情報で確かめる習慣をつけましょう。
15. 税金を引いた、手取りの計算を練習してみる
仮の数字で、手取りを計算してみましょう。20.315%(2026年時点。2027年1月以後は改正予定があります)で計算します。
例1:売って、利益が30万円出た場合
300,000円 × 20.315%=60,945円が税金になります。手元に残るのは、300,000円 − 60,945円=239,055円です。
例2:配当金が1万円あった場合
10,000円 × 20.315%=約2,031円が、税金として引かれます。受け取れるのは、約7,969円です。
例3:同じ年に、利益と損が両方ある場合
同じ年に、上場株式等の範囲で、Aで利益が50万円、Bで損が20万円なら、差し引き30万円の利益になります。この30万円に税金がかかるため、例1と同じ計算になります。
いずれも、説明のための仮の数字です。実際の税額は、口座の種類や、ほかの所得、端数の処理などによって変わる場合があります。大切なのは、利益の約2割が税金になる、という全体のイメージを持っておくことです。
16. 記録を残しておく大切さ
税金の計算では、いつ、いくらで買って、いくらで売ったかの記録が基になります。特定口座では、証券会社が記録と計算をしてくれますが、一般口座や、複数の口座を使っている場合は、自分でも把握しておく必要があります。
- 証券会社から届く、取引報告書や、年間の取引報告書を、保管しておく
- 売買の日付・金額・手数料を、わかる形で残しておく
- 口座を変えたときは、元の口座の記録も、すぐに出せるようにしておく
保管の期間や、書類の扱いは、国税庁の案内で確認してください。
17. 制度を知っておく意味
税金の仕組みを知っておくと、「思っていたより手取りが少なかった」という驚きを避けられます。また、次の章から説明するNISAが、どの部分に働く制度なのかも、わかりやすくなります。
NISAは、ここで見てきた利益や配当にかかる税金を、一定の範囲でかからなくする制度です。まず、通常は約2割の税金がかかるという前提を押さえてから、次の章に進みましょう。
18. まとめ
- 株・投資信託の利益には、基本的に20.315%の税金がかかる(2026年時点。所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%。2027年以降の改正予定あり)
- 口座には、特定口座・一般口座・NISA口座がある。特定口座(源泉徴収あり)は、手間が少ない
- 損が出たときは、損益通算・繰越控除の仕組みがある。ただし、NISA口座の損は対象外
- 税金・制度は変わることがある。最新の情報は、国税庁・金融庁で確認する
次は第2章「NISAの基本」へ。
※この記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品をおすすめするものではありません。投資の判断はご自身で行ってください。税金の個別の判断は、税務署・税理士に相談してください。 内容は2026年11月時点の情報です。

