投資のリスクとリターンとは?「価格が動く」ことの意味をやさしく解説

投資のリスクとリターンとは?「価格が動く」ことの意味をやさしく解説

1. この記事でわかること

  • 投資でいう「リスク」と「リターン」の意味
  • リスクとリターンの関係(なぜセットなのか)
  • 主なリスクの種類と、減らすための考え方
  • 値動きの大きさを、数字でイメージする方法
Mikikko
Mikikko

投資の「リスク」って、危ないってこと?

Muttakko
Muttakko

日常で使う「危険」とは、少し意味が違うんだ。投資では「結果のぶれ幅」のことなんだよ。

2. リターンとは

リターンとは、投資から得られる成果のことです。値上がり益、配当、利子などを合わせて、「投資した金額に対して何%増えたか」で表すことが多いです。

たとえば、100万円で買ったものが、1年後に105万円になったとします。この場合のリターンは+5%です。反対に、95万円になったなら、リターンは−5%です。リターンはマイナスになることもあります。

3. リスクとは

投資の世界でいうリスクとは、「結果が、予想から上にも下にもぶれる幅」のことです。損をする可能性だけでなく、予想より大きく増える可能性も含めた、ぶれの大きさを指します。

  • ぶれが小さい:結果が予想に近く、あまり動かない
  • ぶれが大きい:大きく増えることも、大きく減ることもある

「リスクが大きい」とは、「必ず損をする」ではなく、「どちらにも大きく動きうる」という意味です。ただ、実際に私たちが気にするのは、下に大きく動くときです。だから「損をする可能性」の意味で使われることも多くなっています。

4. リスクとリターンの関係

一般に、期待される成果(リターン)が大きいものほど、ぶれ幅(リスク)も大きいという関係があります。

リスクとリターンの関係

もし「リスクが小さいのに、リターンが大きい」商品があれば、みんながそれを買うので、すぐに値段が上がり、その有利さは消えてしまいます。だから、リスクのない高いリターンは、基本的に存在しないと考えます。

逆に言うと、「ほとんどリスクがなくて、高いリターンが約束される」という話は、どこかに無理があるか、詐欺の可能性があります。この点は、この連載でも何度か出てきます。

5. 主なリスクの種類

投資のリスクには、いくつかの種類があります。代表的なものを見てみましょう。

リスクの種類内容
価格変動リスク株や投資信託などの値段が上がったり下がったりする
信用リスク貸した先や、投資した会社が破綻して、お金が戻らなくなる
為替変動リスク外国のお金で買うものは、円との交換レートの変化で、円で見た価値が変わる
金利変動リスク金利が変わることで、債券などの値段が動く
流動性リスク売りたいときに、買い手が少なくて、思った値段で売れない
インフレリスク物価が上がって、お金の価値が目減りする(次の記事で説明)

価格変動リスクをイメージする

最も身近なのは、価格変動リスクです。たとえば、同じ100万円でも、次のようにぶれ幅が違います。

  • 預金:1年後も100万円(利息がついて、少しだけ増える)
  • 値動きの小さい商品:1年後に、98万〜103万円くらいの間で動く
  • 値動きの大きい商品:1年後に、70万〜130万円くらいの間で動く

ここで書いた数字は、イメージをつかむための例です。実際の商品の値動きを示すものではありません。

6. 値動きの大きさを表す「振れ幅」の考え方

金融の世界では、値動きの大きさを「標準偏差」などの数字で表すことがあります。むずかしく聞こえますが、考え方は「ふつう、どのくらいの範囲で動くか」をまとめた数字です。

投資信託の説明書(目論見書)や、運用会社のサイトには、過去の値動きの振れ幅が載っていることがあります。ただし、過去の振れ幅は、将来も同じとは限りません。目安として見るのはよいですが、約束ではないことを忘れないでください。

7. リスクを減らすための基本の考え方

リスクをゼロにはできませんが、受け止めやすくする方法はあります。

1. 分散する

お金を1つの商品に集中させず、いくつかに分けることです。「卵を1つのかごに盛るな」という言葉が、よく使われます。

  • 銘柄の分散:1つの会社の株だけでなく、複数の会社に分ける
  • 地域の分散:日本だけでなく、世界に分ける
  • 資産の分散:株だけでなく、債券なども組み合わせる

分散すると、一部が大きく下がっても、全体への影響を和らげられる場合があります。ただし、世界全体の景気が悪くなったときは、分散していても全体が下がることがあります。

2. 時間を分散する

一度にまとめて買うのではなく、毎月など、時期を分けて少しずつ買う方法です。高いときにも、安いときにも買うことになるので、「買うタイミングの失敗」を和らげられます。積立については、第3章・第4章で説明します。

3. 長く持つ

短期間の値動きは大きくても、期間が長くなるほど、結果のばらつきが小さくなる傾向があると言われます(過去の傾向であり、将来を約束するものではありません)。ただし、長く持てば必ず増えるわけではなく、長い期間でも元本を下回ることはあります。

4. 自分が耐えられる範囲で行う

最も大切なのは、自分が精神的にも、お金の面でも耐えられる範囲に収めることです。資産が2割減ったときに、夜も眠れなくなるなら、その金額は、自分にとって大きすぎるかもしれません。

8. リスクを「自分の許容度」で考える

同じ商品でも、人によって向き不向きがあります。次のような点で、自分の「リスクに耐えられる度合い」を考えてみましょう。

  • 投資するお金を、いつ使う予定か(近いうちに使うなら、値下がりを待てない)
  • 収入が安定しているか(安定しているほど、投資のお金を動かさなくてよい)
  • 生活費の備えがあるか
  • 値下がりしたとき、気持ちの面で耐えられるか

自分の許容度を超えたお金で投資をすると、下がったときに、あわてて売ってしまう原因になります。

9. よくある勘違い

  • 「リスクが低い=安全」ではない:預金でも、物価が上がれば、お金の価値は目減りします
  • 「過去に上がったから、これからも上がる」とは限らない
  • 「分散すれば損をしない」わけではない:和らげるだけで、ゼロにはならない

10. 下がったあと、元に戻るには?

値下がりの怖さは、「下がった分」よりも、「元に戻すために必要な上がり幅」で考えると、イメージしやすくなります。

下がった割合元に戻るために必要な上昇率
−10%約+11%
−20%+25%
−30%約+43%
−50%+100%

たとえば、100万円が、50万円に半分になったとします。元の100万円に戻すには、50万円が2倍の100万円になる、つまり+100%が必要です。大きく下がるほど、戻るのに必要な上がり幅は、急に大きくなります。この計算は、ただの算数で、将来を予想するものではありません。

11. 商品の説明書で、リスクを確認する

投資信託や、株を買うときには、リスクについて書かれた資料があります。

  • 目論見書(もくろみしょ):投資信託の内容を説明した書類。「投資リスク」の欄に、その商品が抱えるリスクが書かれている
  • 運用報告書:運用の結果を報告する書類。値動きの実績や、費用がわかる
  • 証券会社のサイトの商品ページ:リスクの大きさの目安、過去の値動きなどが載っている

買う前に、「どんなときに値下がりしそうか」を、自分の言葉で説明できるかを確認してみましょう。説明できない商品は、まだ買うタイミングではないかもしれません。

12. 自分に合うリスクの量を考えるヒント

自分のリスクの許容度を考えるときには、次のような「もしも」を想像してみるのが、役に立ちます。

  • 100万円が、半年後に80万円になったら、どう感じるか
  • そのとき、売る?持ち続ける?追加で買う?
  • 生活費への影響はないか
  • 家族に、どう説明するか

「何もしないで待てる」と思える金額が、考えるときの一つの目安になります。ただし、頭で考える状況と、実際に値下がりを見る気持ちは、違うことが多いものです。最初は小さい金額から始めて、値動きに慣れる、という考え方もあります。

13. リスクとの付き合い方:3つのステップ

  1. 1知る:どんなリスクがあるのかを、仕組みとして理解する
  2. 2測る:自分が耐えられる金額・期間を考える
  3. 3備える:分散・積立・生活防衛資金などで、受け止めやすい形にする

リスクを避け続けるのではなく、リスクを理解した上で、受け入れる量を自分で決めることが、投資の第一歩です。

14. ニュースでよく聞く「値動き」の言葉

投資のニュースには、値動きを表す言葉がよく出てきます。意味を知っておくと、ニュースが読みやすくなります。

言葉意味(一般的な使われ方)
上昇・上げ値段が上がること
下落・下げ値段が下がること
暴落短い期間に、値段が急に大きく下がること
調整上がった後に、一時的に値段が下がること
ボラティリティ値動きの大きさ。大きいほど、リスクが大きいとされる
含み益・含み損まだ売っていない状態での、評価上の利益・損失
損切り損が出ている状態で、売って損失を確定させること

「暴落」や「調整」という言葉は、はっきりした基準があるわけではありません。ニュースの言葉に引っ張られず、自分が持っている商品が、どのくらい動いたかを、落ち着いて確認することが大切です。

15. リスクについての、よくある質問

値動きの小さい商品を選べば、安心ですか?

値動きが小さい商品は、短期的な値下がりのリスクは小さい傾向があります。ただし、インフレに負けやすい、期待される成果も小さい、といった別の面があります。「安心」かどうかは、自分の目的と合っているかで考えましょう。

過去に大きく下がった商品は、危険ですか?

過去の値動きは、その商品の性質を知る手がかりになります。ただし、「過去に下がったから危険」「過去に上がったから安全」と決めつけることはできません。理由を調べて、自分の許容度と照らし合わせます。

リスクを取らないと、お金は増えませんか?

一般に、大きな成果を期待するほど、リスクも大きくなります。ただし、リスクを取るかどうかは、選択です。目的や状況によっては、預金だけで十分な人もいます。

16. リスクの意味を、身近なたとえで考える

リスクを「ぶれ幅」と考えると、日常の例でイメージしやすくなります。

たとえば、毎日の通勤を考えてみましょう。電車の到着時間が、毎日ほぼ同じ人もいれば、天気や混雑で大きく遅れることがある人もいます。平均すると同じ時間でも、遅れ方のぶれが大きいほど、予定を立てにくくなります。投資のリスクも、これに似ています。結果が大きくぶれる商品は、予定を立てにくいということです。

だからこそ、「いつまでにいくら必要か」が決まっているお金ほど、ぶれの小さい置き場所で持つ、という考え方があります。反対に、使う時期が遠いお金なら、ぶれを受け止める時間の余裕があります。

17. 数字だけでは測れない「気持ちのリスク」

リスクには、数字で表せるものだけでなく、自分の気持ちが原因で起きるものもあります。

  • 値下がりのニュースを見て、不安になって売ってしまう
  • 値上がりの話を聞いて、焦って、よく知らないまま買ってしまう
  • 損を取り戻そうとして、金額を大きくしてしまう

こうした行動は、「その商品が悪い」のではなく、自分の気持ちの動きで起きます。対策として、事前にルールを決めておく方法があります。たとえば、「毎月決まった日に、決まった金額だけ買う」「値動きを見るのは、月に1回にする」といったものです。ルールがあると、気持ちが揺れたときに、判断を任せられます。

18. 過去のグラフを見るときの注意

商品の説明には、過去の値動きのグラフが載っていることがあります。見るときは、次の点に気をつけてください。

  • どの期間を切り取っているか:同じ商品でも、期間を変えると、印象が大きく変わる
  • 縦軸の幅:目盛りの幅によって、値動きが大きく見えたり小さく見えたりする
  • 過去は将来の約束ではない:同じ動きが繰り返されるとは限らない

グラフは、商品の性質を知る手がかりです。「これからこうなる」という予想の材料にはなりません。

19. まとめ

  • リターンは「成果」、リスクは「結果のぶれ幅」。マイナスのリターンもある
  • 一般に、リターンが大きいほどリスクも大きい。「リスクなしの高リターン」は疑う
  • リスクには、価格変動・信用・為替・金利・流動性・インフレなど、いくつもの種類がある
  • 分散・時間の分散・長く持つ・自分が耐えられる範囲で行う、が基本の考え方

次は「インフレとお金の価値」へ。

※この記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品をおすすめするものではありません。投資の判断はご自身で行ってください。 内容は2026年11月時点の情報です。